住宅ローンの返済期間はどう考える
上限35年で組めばよいのか
一般的に、住宅ローンの返済期間の上限は35年が最も多いでしょう。これは正しいのですが、だからと言って、「住宅ローンは35年で組むもの」と思い込んでいませんか? あくまでも35年まで設定できるのであって、それ以内ならば何年で返済をしようが任意で決められるのです。
では、なぜ簡単に「35年」に決めるべきではないのでしょうか。まず、返済期間が長いほど月々の返済額は少なくなるので、毎月の負担はラクになります。しかし、このような考え方のもとに、延ばせられるならできるだけ長い方がよいとするのは、次のようなデメリットを伴うことを知っておきましょう。
まず最大のデメリットは、総返済額が大きくなるということです。住宅ローンの利息は、返済すべき元金にかかってきます。つまり、返済が進んで元金が減っていけば、かかる利息も少なくなっていきます。ですから、例えば同じ3,000万円を借り入れたとして、20年と35年の返済期間を見た場合(元利均等返済でボーナス払いなし、金利はどちらも1.3%と仮定)、20年では返済月額142,021円・総返済額34,084,966円となり、35年では88,945円と37,356,755円になります。35年では総返済額が350万円も多くなっています。実際には、返済期間が長くなれば利率も上がるので、これ以上の差が出ますし、月額ももう少し上がります。
返済期間と毎月の返済額を考える
次に返済期間と毎月の返済額について考えます。
前段の試算をもう一度使い、今度は金利の違いを付けてみましょう。3,000万円の借り入れで、返済期間20年の方は金利1.3%として、35年では金利1.4%とします(その他条件は前記と同じ)。そうすると、20年の返済月額は142,021円になり、35年は90,393円になります。差額は5万円超です。35年については、毎月の返済額が少ない分総返済額が増えてしまうことはお伝えしました。では20年の方はどうでしょうか。返済期間が15年短く、早く完済できて総返済額も抑えられる分、毎月の負担が大きいですね。
これは、実は金融機関の融資条件の一つである「返済負担率」に影響してきます。年収に占める返済額の割合です。返済負担率が高過ぎると、家計収支のバランスが崩れ、返済滞納や返済不能が起きる可能性が出てきます。ですから、金融機関は一定の基準として「返済負担率」を設定し、これを防いでいるのです。つまり、返済期間を短くし過ぎても返済月額が家計を圧迫してしまうまでになると、その条件では借りられないということになります。
重要なのはライフプラン
では、返済期間はどのように決めればいいのでしょうか。
住宅ローンの支払いは前述した通り、数十年という長期にわたって続いていきます。その間には、子供が生まれて家族が増える、子供が成長とともに進学していく、車などの大きな買い物がある、家の修繕や改築がある、子供が結婚するなど、家庭内でのイベントがいろいろと考えられると思います。そしてそれらには、大きな資金が必要になります。
したがって、住宅ローンの返済期間を決めるには、これらイベントを踏まえた収支計画、いわゆる「ライフプラン」を立てることが大切です。さらに、借入時の年齢と完済時の年齢も重要です。何歳で借りるかで、何年借りられるかが変わってきます。会社員の場合、定年の60歳までに完済したいとなると、35年の借入期間が組めるのは、25歳までとなってしまいます。しかし、退職金というまとまった資金が見込めるのなら、30歳で65歳まで返済期間があったとしても大丈夫でしょう。
また、35年で組んでも、途中でやりくりをうまくして、繰上げ返済により返済期間を短くするという方法もあります。いずれにしても最終的には、各自のライフプランと年齢などで判断することになります。
返済計画やライフプランの策定に迷うことがある場合には、金融機関やファイナンシャルプランナーといった専門家に相談するという手段もあります、いずれにしても、自分に合った適切なプランを立てる必要があるということを知っておきましょう。
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