売買契約時の留意点とは
「売買契約書」はどこを確認すべきか
まず「売買契約書」には主に以下の項目が記載されています。
・売買物件の表示
・金銭に関すること(売買代金・手付金等の額・支払日)
・土地の実測及び土地代金の精算
・境界の明示
・所有権の移転と引き渡し
・付帯設備等の引き継ぎ等
・負担の消除
・公租公課等の精算
・手付解除
・危険負担(引き渡し前の物件の滅失・毀損)
・契約違反による解除
・反社会的勢力の排除
・特約
・契約不適合責任
上記の項目の中でも留意すべき「売買物件の表示」「付帯設備等の引き継ぎ等」「特約」「瑕疵担保責任」について確認しましょう。
【売買物件の表示】
売買物件の表示とは、購入する不動産の概要のことです。不動産の所在地や土地面積、建物面積・構造など、基本的に登記簿の内容が記載してあります。実際の取引内容通りかを細かな面積などの数値に注意して確認しましょう。
【付帯設備等の引き継ぎ等】
主に中古物件が対象になりますが、エアコンや照明などの付帯設備についての取り扱いを確認します。具体的には、これら付帯設備を引渡し後に引き継ぐのか、引渡し前に撤去してもらうのかを明確にしておくということです。不要な物を撤去するには費用がかかりますから、その負担についてはあらかじめ定めておく必要があるのです。
【特約】
「特約」は通常の条約事項には定めのない内容を、わざわざ別立てで規定するものです。その内容はさまざまありますが、仮に本文の条項の内容に相反するような記述である場合、基本的には特約の方が優先されるので、注意が必要です。法令に反するような内容や、当事者の一方が明らかに不利益を被るような内容はそもそも無効になりますが、契約時に確認するには越したことはありません。
【契約不適合責任】
「契約不適合責任」は、取引した物件が契約内容と異なる場合に、売主が負う補償責任のことです。不動産の取引では、土地・建物に契約時の認識と異なる不具合があった場合などが対象になります。
「手付金」について
「手付金」とは、売買代金の支払いに先んじて、売買契約時に買主が売主に支払うお金です。そのまま契約が履行されれば、売買代金の一部として取り扱われます。その場合は何も問題はありませんが、もしも契約が履行されなかったときに手付金はいろいろな重要な意味を持ってきます。以下に手付金の種類とそれぞれの持つ意味を記します。
【証約手付】
「証約手付」とは、不動産売買契約が成立したことを証明するための手付金です。ただし、国内の商習慣においては、この性質として手付金を用いることはほとんどありません。
【解約手付】
買主が手付金を放棄することで、契約を解除できるという意味を持つ手付金です。売主の都合で解約になった場合は、2倍の金額を買主に支払うことになっています。これは民法で規定されています。
【違約手付】
「違約手付」は、債務不履行があったときに違約金として没収されることが予定されている手付金です。売主に債務不履行(引渡し義務の不履行)が発生した場合は、売主は買主に手付金の2倍の金額を支払います。
また、不動産売買で支払う手付金には、「売買代金の 20%以内」という上限設定があります。仮に、売買代金が4,000万円であれば、800万円が手付金の上限です。ただ、売買代金の20%はかなりの高額になるので、手付金額の相場としては5%~10%、もしくは「100万円」といった金額指定が多いようです。
契約が解除になる場合とは
売主・買主双方とも、売買契約が滞りなく履行されることを望んでいるはずですが、意に反して契約が解除されることも考えられます。どのような場合に解約になるか、参考にいくつかのパターンを挙げます。
【自己都合による契約解除】
自己都合による解除とは、「やはり気が変わったから契約解除したい」などです。この理由での解除の場合は、買主都合では手付金の放棄、売主都合では手付金の2倍額の支払いが必要になります。
【住宅ローン特約による契約解除】
不動産の購入に際しては多くの人が住宅ローンを利用しますが、もしも審査が通らずに融資実行不可になってしまったら購入資金が調達できないので、買えないという事態に陥ってしまいます。この場合買えないわけですから、大抵は契約が解除になる特約が定められています。買主が責任を負う事由ではないので、契約は白紙となり基本的に手付金は全額返還されます。
【債務不履行による契約解除】
債務不履行とは、売主・買主のどちらかが、以下のように本来履行すべき債務についての約束を守らなかった状態を言います。
・期限までに買主が売買代金を支払わない
・期限までに売主が物件の引渡しをしない
・契約時と物件が異なる状態(破損など)になっている
このような場合は、非がある方の違約になります。例えば、期限までに買主が売買代金を支払わなければ、売主は売買契約を解除できます。その際は、買主に責任があるので、買主から預かっている手付金を違約金として売主が没収します。
【物件の滅失、毀損による契約解除】
物件の滅失・毀損とは、売買契約を結んでから引渡しまでの間に、地震などの自然災害や火災などにより、取引対象がその効用を失った状態になることです。売主・買主ともに責任のない理由によって建物がなくなったり、損傷したりした場合には、特約の適用により契約が解除されます。
基本的な取り決めは、滅失した場合には契約は白紙解約になり、毀損した場合は毀損した範囲を修復し、買主に引渡すというものです。ただしその程度の差や損傷具合を計る基準は何をもってというのは難しいので、個々の事案ごとに社会通念と照らして判断することになるでしょう。
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